7/26/2010

絶対貧困

絶対貧困絶対貧困
石井光太

光文社 2009-03-24
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今日は「絶対貧困」を紹介します。

この本の特徴は、「当事者視点」で書かれているところ。
筆者が実際にスラムで暮らすなどした経験をもとに書かれて
いるので、ニュートラルな視点から書かれている印象が強い。

スラム暮らしの人々がもつ「連帯感」、婚姻について、など
語られることの少ない着目点もあり、新鮮に感じられた。

一方で、人身売買や売春・物乞いなどについても詳しく書かれて
おり、厳しい現状を理解するきっかけにもなった。


この本を読んでいて強く思い出されたのが、3月に友人と
旅行したタイでの出来事である。

都市部の路上では、マクドナルドの紙コップなどを自分の前に
おいて、じっと座って手を合わせている人たちを多く見受けた。
中には、子どもをかかえたお母さん、さらには5,6歳に見える
子どもがひとり座っていることもあった。

「果たして、この人たちに募金してあげることは本人たちにとって
よいことなのだろうか」
「今募金をしてしまっては、物乞いをずっと続けてしまうのではないか」

こんなことを考え、私は募金をしなかった。
確かにこの考えにも一理ある、と筆者も書いている。

ただし、筆者が強調しているのは
「明日、一週間後、彼ら・彼女らが生きているとは限らない」
ということだ。
貧困は構造的な問題であり、ちょっとした募金で何も状況が
好転しないことは分かっている。
でも、そこにいる人たちは、構造の転換をプライオリティに願っている
のではない。
「自分が少しでも長く生き延びること」を願っているのである。


「少量の金額の授与に、あまりに大きな理想を詰め込まなくてもいいのではないか」
というコメントには、考えさせられました。

以後同じ状況に出会ったとき、果たして自分はどう振る舞えばいいのか。
まだわかりません。

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