5/19/2010

カンヌ映画祭

カンヌ国際映画祭
http://www.festival-cannes.fr/fr/homepage.html



今年は北野武の出品で、例年以上に注目されていますね。
どんな作品がcompetetionに出てるのかなぁ・・・
と思いのぞいてみると、なんとKen Loachの新作が!

タイトルは"Route Irish"。
イギリスのイラク派遣について描かれた作品みたいです。

Ken Loachは(僕よりご存知の方もたくさんいらっしゃるかと思いますが)
社会派の映画を多く撮っています。

僕のイチオシは、「やさしくキスをして」ですね。
ただの恋愛映画ではありません。
ぜひ観てみてください。かろうじてTSUTAYAに置いてあります。

・・・にしても、一度カンヌに行って映画づけになってみたい!
来年も無理だろうし、就職したらもっと無理かなぁ。
ということは、今年が最後のチャンスだった、ってこと!?

ちょっと悲しくなりました(泣)。



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5/11/2010

森美術館へ。


















ミレー 『馬鈴薯植え』 1861頃



今日は雨の中、森美術館@六本木に行ってきました。
「ボストン美術館展」
「六本木クロッシング2010展~芸術は可能か?~」
の2本立てです。


まずは「クロッシング展」へ。

現代アートには以前から興味がありさまざまな
作品を見てきたが、今回はかなり意欲的な、
エネルギッシュな作品が多いなぁという印象。

現代アートは、日常生活のなかで大量生産、
大量消費されているモノに対して、新たな解釈を
与えていくところが面白い。

今日もまた、「へぇ~!」「うーん、なるほど。。。」
と楽しむことができた。


次に「ボストン美術館展」へ。

なんと人の多いこと、多いこと・・・。

ゆっくり見たい人は、「平日の朝一番」に行くことを
強くおススメします。
(僕は以前「フェルメール展」でこの手を使い、
ゆっくり見ることができました♪)

あまりじっくり見ることは出来なかったけど、
その中でも印象に残ったのは、
ミレー『馬鈴薯植え』。

写真では分かりにくいが、影の使い方が素晴らしい。
「光」と「影」に、現実感以上の意味を
付け加えている画家はなかなかいない。

ミレーは以前から好きな画家だが、
一層好きになった。


最近印象派の作品展が多いなと思ったら、
今年は「日本人が印象派に出会ってちょうど100年」
らしいですね。

5/10/2010

告白

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新幹線で実家から帰るときに読んだ。

あまり小説は読まないのだが、
あっという間に読み切れてしまった。


この小説は、「学級」という特殊な空間設定
によって、その複雑さが一層際立っている。

自分の意志によらず集められた生徒たち、
そして生徒に最も密着している大人としての教師。



以前大学の講義で、「学級」について
批判的に書かれた論文を読んだ。

そこに書かれていた主張は、
おおよそ以下のようなものである。



学級は、生徒の意志とは無関係に形成され、
しかも離脱が許されないものである。

その特殊な集団は、人間関係など様々な
問題を引き起こしうる。

社会的な振る舞いがあまり身についていない
子供に、そのような集団を押し付けるのは
果たして良い政策といえるのか。



この主張に対して、僕は否定的な意見を持っていた。

なぜなら、僕は偶然にも人間関係に悩まされる
ことのない、「よい」学級で過ごしてきたからだ。

しかし、この小説を読んで
学級の問題点を
(過剰ともいえる例を用いて)明示されたことで、
やはり学級の問題点に対する目配りも必要だ
と思うようになった。

学級で問題が起こったとき、教師に何ができるのか。
教師が「解決した」と感じたとしても、それは教師に
見えている範囲においてのみであり、実際には
問題が地中に隠れ、さらに根深いものに変化して
しまっているのではないか。


教師という存在について、考えさせられる作品だった。

5/09/2010

先生はえらい

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気付いてみれば、なぜか内田樹の本が続いている。
以前、『下流社会』を読んだので、これでつごう3冊読んだ。

読後感がすっきり、というわけではなく、
むしろもやもやするのに、なぜか読んでしまう。
不思議なものだ。


筆者の主張は(先生の側からパラフレーズすると)
簡潔には以下のようなものである。

先生が生徒にとって「もやもやした存在」であることによって、
生徒の、先生に対する敬意を引き出すことができる。
また、この行為は解釈の「幅」を伴うことが内在的に
組み込まれている、コミュニケーションを基盤として
成り立っていることである。


つまりは、誰に何をしてほしいのだろうか・・・?

この本はまえがきにも書かれているように、
「生徒が、『先生はえらい』と思えるようにするには
どうしたらいいのか」ということを目的としている。
おそらく、この本の真の目的は、「で、どうしたらいいの?」
と「もやもや」させることにあったのだろう。


『下流社会』にも触れられていたが、大衆消費社会に
生きる子供たちに、即自的なやり取りだけでは割り切れない
ものもある、ということを伝えたいのではないだろうか。


blogに書くにあたって読み返しながら、
かくいう僕自身も「もやもや」してしまった。

ひとつだけ気付いたのは、
この本の存在価値は「何も語らなかった」
ということにあるのだろう、ということだ。

5/08/2010

「天下り」とは何か

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これも4月終わりに読んだ本。
ということで、しばらくはサボっていた
ブックレビューが続きそうです。


この本を読んで強く感じたのは、
「天下り」という言葉のあいまいさだ。

世間一般では
「天下り」というと、
キャリア官僚がさまざまな口利きによって
就職先(民間企業や公益法人など)を
あっせんしてもらうことだ、と考えられて
いるように思う。
しかし、実際には地方公務員の「天下り」も
あるし、民間からその力量を乞われて転職をする官僚もいる。

民間では当たり前に行われている「キャリアを積む」
という行為が、公務員に対しては厳しすぎるほど
規制されているような気がしてならない。

「公務員が再就職をすること」=「天下り」という図式は
必ずしも成り立つものではない。

「天下り」問題に関して、いかに世論が傾いているかということを痛感した。

日本辺境論

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4月頭に読みましたが、レビューを書くのに手間取りました。


日本人は常にレスポンスを行う民族である、ということが

一貫して述べられている。

すなわち、権威的な周囲の勢力の出方をもとに、

自分の立場・行動を決めるということだ。


上記のことについて述べているこの本そのものが、

アメリカや西欧の事例を引用して、翻って日本はどうか

という流れで書かれていることが面白かった。

国同士の比較にせざるを得ない部分は大いにあるとは思うが、

筆者はこれに気付いて筆を進めていたのだろうか。


個人的に興味深かったのは、「機」の思想が触れられた、第3章だ。

同時性(と表現していいのだろうか)と、「辺境性」がうまく議論として噛み合っていたように思う。


引っ掛かったのは、「無意識」を論証の過程で何度も使用したことだ。

これでは印象論にしかならない。

もちろん、この本で厳密な論証は行わないとまえがきに書かれてはいるのだが。


総じて、読み物として面白い本だった。